知的財産権に関する法務、および訴訟を強みとする窪田法律事務所。代表の窪田英一郎弁護士は、中村合同特許法律事務所を経て、1994年に前身となる窪田法律特許事務所を設立。その後、グローバルファームのロヴェルズ法律事務所(現ホーガン・ロヴェルズ法律事務所外国法共同事業)のパートナーとなり、自身の事務所メンバーを中心にジャパンチームを編成。2015年に同チームメンバーとともにファームを離れ、窪田法律事務所を再稼働させた。
「日本のクライアントのお手伝いをしっかりやっていきたいと考え、ファームを離れて独立したのですが、外資系法律事務所で活動していたおかげで、海外からのご相談もかなり増えています。現状、取り扱い案件のうち、約半分が海外のクライアントの案件となっています」(窪田弁護士)
現在は、国内外のクライアントの知的財産権にかかわる業務・訴訟を核として、独占禁止法、景品表示法、個人情報保護法などに関するアドバイスや、インターネット関連の法律問題の対応など、企業活動全般の法務業務にも活動の幅を広げている。これまでどのような案件に取り組んできたか、窪田弁護士にうかがった。
「09~12年にかけて、ワイモバイルの前身であるイー・アクセスが、ドイツの企業から複数の特許侵害訴訟を提起された際に、我々はイー・アクセス側の代理人を務め、原告の請求棄却で終わりました。相手方は、モバイル通信技術関係の特許ポートフォリオを管理する、ある種のパテントトロールでした。パテントトロールを相手にした事件を多々解決していることが、当事務所の特徴の一つです」
クライアントの業種は多様で、近年は、医薬・製薬企業や、バイオ関連企業の案件が増えている。
「日本のある製薬企業が保有するHIVインテグラーゼ阻害薬に関する特許についてアメリカの製薬企業と争った事件では、我々はアメリカの製薬企業側の代理人となり、特許庁審判部から、日本の製薬企業の特許が無効であるとの審決を得ました。ちなみに、当該クライアントは先発医薬品メーカーでした。我々は小規模事務所ではありますが、そうしたグローバル企業や海外の大手メーカーをクライアントとして多数有しているのです」
国内外のクライアントと密接にやり取りし、交渉など訴訟の前段階から、深く入り込む。
「とはいえ、当事務所のメンバーは全員、“切ったはった”や“勝ち負け”をはっきりさせる訴訟が大好き。戦略策定、鑑定、交渉などの前段階も、もちろん全力でサポートしますが、訴訟になると一層燃えるんですよ」と笑顔を見せる、窪田弁護士だ。
窪田弁護士は、過去に商標権侵害で、アパレル企業がほかのアパレル企業を訴えた訴訟で、原告側の代理人として戦った。
「相手方が証拠として提出した帳簿に『大豆油インキ使用』と書かれていたことに違和感を覚え、帳票関係のクライアントに尋ねたところ、その帳簿が作成された時期に、大豆油インキはまだ使用されていなかったことが判明し、帳簿が証拠提出のために新たに作成された不正なものであることを突き止めました。結果として、数億円の損害賠償が認められたことが印象深いです」