Vol.85
HOME事務所探訪オリンピア法律事務所
  • ▼弁護士のブランディング支援サービス

    Business Lawyer's Marketing Service
  • ▼弁護士向け求人検索サービス

    想いを仕事にかえていく 弁護士転職.JP
  • ▼弁護士のキャリア形成支援サービス

    弁護士キャリアコンシェルジュ
  • 当社サービス・ビジネス全般に関するお問い合わせ

前列左から、田代洋介弁護士(67期)、川上明彦弁護士(34期)、川上敦子弁護士(34期)、並木亜沙子弁護士(75期)、夏目久樹弁護士(59期)、岡部真記弁護士(60期)。後列左から、石井大輔弁護士(68期)、原 武之弁護士(56期)、平岩諒介弁護士(72期)、杉谷 聡弁護士(70期)、和田圭介弁護士(58期)、松本健大弁護士(75期)、ほか3名の弁護士が所属

前列左から、田代洋介弁護士(67期)、川上明彦弁護士(34期)、川上敦子弁護士(34期)、並木亜沙子弁護士(75期)、夏目久樹弁護士(59期)、岡部真記弁護士(60期)。後列左から、石井大輔弁護士(68期)、原 武之弁護士(56期)、平岩諒介弁護士(72期)、杉谷 聡弁護士(70期)、和田圭介弁護士(58期)、松本健大弁護士(75期)、ほか3名の弁護士が所属

STYLE OF WORK

#174

オリンピア法律事務所

中部エリアで幅広い企業法務を舞台に、自分の得意分野を見つけられる場を提供

地元に貢献する法律事務所を!

2017年、「中部発、前進する人とともに未来を創る」をスローガンとして掲げ、名古屋市中区に設立されたオリンピア法律事務所。東海3県、静岡県、長野県、北陸エリアで、顧問業務、コンプライアンス、人事・労務、倒産・再生、英語・中国語・韓国語での渉外、知的財産権、M&Aといった企業法務を中心としながら、個人を対象とした案件まで、幅広くリーガルサービスを提供している。設立の経緯を、和田圭介弁護士にうかがった。

「中部地方のなかでも、特に愛知県は、大手・中小問わず多様なメーカーが企業活動をしています。グローバル展開を積極的に行う企業、最先端技術を誇る企業もあり、専門的かつ高度なアドバイスのできる法律事務所が、そうした企業から求められています。そのような地元企業のために、ワンストップでサポートできるこの地域に根差した法律事務所をつくりたい――そう考えた弁護士が集まり、事務所を始動させました」

創設メンバーの一人、原武之弁護士は、「私たちがイメージするのは、ブティックファームではなく、“コングロマリットファーム”です。ゆえに事務所として特定分野だけに特化するようにはしていません。若手弁護士が、様々な得意分野を持つ弁護士と協働しつつ、生き生きと働き、自分の活躍の場を見つけていける――そんな“舞台”をつくりたいという思いが根底にあります」と語る。

同事務所には、愛知・岐阜県出身の弁護士、大手法律事務所・外資系法律事務所を経験した弁護士などが参画する。それぞれの得意分野を生かし、案件によってチームを組成するが、なかでも国際法務分野は、「中部圏では最大級のチーム組成が可能」と和田弁護士。中国の大学院(経済法学)に留学経験のある岡部真記弁護士が、国際法務案件についての具体例を、次のように教えてくれた。

「クライアントである愛知県本社のメーカーが、取引先の香港企業との間で紛争になり、香港と日本で対応した件があります。私と和田弁護士でチームをつくり、日本、香港、工場のあった中国にある証拠を集め、英語・中国語・日本語で書面を作成、現地弁護士と共同しながら収束させていきました。クライアントの主張は各国にまたがっており、日本での対応だけでは総合的な解決が困難であったため、中国や香港での調査結果や手続きを踏まえて、クライアントに複数の選択肢を提示しました。そのうえで現実的な落としどころを探るといった、国際紛争ならではのやりがいある案件でした。地元の中小企業でもクロスボーダー取引は当然ありますし、国際紛争に巻き込まれるリスクもあるわけです。そうした時、気軽に相談いただけて、頼られる事務所でありたいと思っています」

  • オリンピア法律事務所
    日弁連副会長や愛知県弁護士会会長を務めた川上明彦弁護士(写真左。右は平岩弁護士)
  • オリンピア法律事務所
    写真左は、川上敦子弁護士(右は田代弁護士)。若手弁護士は、川上両弁護士や、労務問題を得意とする原弁護士、夏目弁護士、国際法務に強い和田弁護士、大久保弁護士、岡部弁護士、倒産再生分野に詳しい竹内千賀子弁護士、石井弁護士など、多様な弁護士の考え方や仕事スタイルを日常業務のなかから学ぶ

弁護士の多様性が事務所の財産

同事務所では、アソシエイトは特定のパートナーにつかず、本人の希望や業務量をパートナーが勘案し、仕事を割り振るスタイル。「入所3年目までは幅広く案件を担当し対応力をつけるとともに、注力していきたい分野や案件を見出してもらう。だいたい6年目以降で、パートナーになりたい弁護士は手を挙げてもらい、パートナー会議で検討しています」と、和田弁護士。なお、多様な経験も持つ弁護士が集結した事務所だからこそ、“すり合わせ”を大切にしている。パートナー会議と弁護士会議をそれぞれ2週間に一度、半日かけて行っているという。

司法修習後に入所した杉谷聡弁護士に、同事務所で働く魅力をうかがった。

「私は出身県の愛知で働きたいと思い、東京の大学卒業後、設立まもない当事務所に入所しました。印象に残るのは、入所面接時に原弁護士と和田弁護士が語った、『名古屋の経済規模なら、四大法律事務所と同じスケールの事務所があっていいと思う。私たちはそういう事務所をつくりたい』という熱い言葉。こんなパートナーがいる事務所なら、自分も弁護士として大きく成長できるのではないかと、感銘を受けました。入所時はまだ、自分がどんな分野に興味を持てるか明確ではなかったものの、先輩弁護士から、事件の扱い方、依頼者との接し方、方針の決め方などについて間近で学ぶうち、自分なりのスタイルや得意分野を見いだせるようになりました」

実際、杉谷弁護士は、著作権などの知的財産権分野、ITビジネス法といった“事務所の新たな軸”を確立しつつあるという。

さらに、所内の先輩弁護士と協働した案件の例についてもうかがった。

「労務分野に強く、多くの労働審判に関与している原弁護士と手がけた案件が印象深いです。愛知県の半導体関連メーカーで、退職した従業員が製造ノウハウを持ち出し、直後、競合企業に転職したため、同メーカーから、原弁護士が相談を受けたものです。刑事告訴も含めて対応策を多角的に検討しましたが、最終的には不正競争防止法違反で、営業秘密の使用差し止めと、その使用による損害賠償を求める民事訴訟を提起しました。証拠を収集して、そこから裁判の見とおしを立て、訴訟を起こした際には大学の教授に依頼して意見書を書いてもらい、クライアントの技術職の方に話を聞いて資料を作成するなど、訴訟をしながら進めた部分が多かった事件です。1年半ほどの時間を要しましたが、先日、勝訴判決が得られたところです。こうした事件は、メーカーが多い名古屋および中部エリアで起こりがちな事件かもしれません」

原弁護士は言う。

「この事件は、最初は『退職者が何かを持ち出した』といった程度の情報しかありませんでした。それほど“とっかかり”の少ない事件でしたが、最終的にクライアントにも喜んでいただける結果となりました。あきらめずにやり続けること、『頑張ってみよう』と奮起すること、そうしたことの積み重ねがあって、最後までたどりつけた事件でした。それは杉谷弁護士をはじめ、議論できる仲間がいたから成し得たことです。周囲の仲間と率直に意見を交わし合える環境であることは、素晴らしいことだと思います」

  • オリンピア法律事務所
    新型コロナ前は事務所旅行で海外へ。写真は2018年、弁護士、秘書や事務スタッフ総勢16名でベトナムに出かけた時の一枚
  • オリンピア法律事務所
    弁護士の執務スペースは個室ではなく、パーティションで仕切った。アソシエイトは、パートナーに気軽に相談できる環境だ

仕事の面白さが組織の成長に通じる

同事務所は昨年、首都圏外の都市や地域で目覚ましい活動を行う法律事務所として、『Asian Legal Business』の「首都圏外の法律事務所トップ10」(ロイター)にランクイン。地元企業のために、ITビジネス法や英文契約、MaaS・自動運転といった専門的なテーマについて知見を深めつつ、多くの基礎的なセミナーも開催している。また、自動車関連企業のみならず、中部に多い農業関連も含めた「ものづくり法務」という取り扱い分野も設定している。その一環で、所内の弁護士十数名で執筆・編集した“自動車部品メーカーの法律実務”に絞った書籍も発刊した。こうした諸活動はスローガンのとおり、中部発で前進する人と未来をつくるための布石の一つ。事務所をどのように運営していくのか。

「既存のクライアントにしっかりとしたリーガルサービスを提供し、信頼を得て、その成果によってほかのお客さまからも選んでいただき、よりよいサービスをさらに展開していきたい。そうして、地域から常に求められる法律事務所として認知されていくことが目標です。しかし、そうなるにはまず、私たち弁護士自身が仕事を楽しむ必要があると考えます。一人ひとりが仕事を通じてハッピーになり、結果として組織が拡大し、お客さまも広がっていく――そんな働き方ができるプラットフォームでありたい。もともと、設立メンバーで語り合ったのは、“常に夢を語れる事務所をつくる”ということ。弁護士同士が夢を語れる、面白い仕事ができる、そんなシンプルな思いを大切にしつつ、中部エリアで最高の存在感を有する事務所になっていきたいと思います」(和田弁護士)

Editor's Focus!

名古屋市のビジネス街・官庁街、丸の内にある同事務所。「オリンピア」という事務所名は、「古代オリンピックが行われたオリンピアから、平和の灯(聖火)が世界に届けられたように、名古屋の地から質の高いリーガルサービスを提供する。オリンピアで、多様な競技のスペシャリストが集い、競い合ったように、高い専門性を有したメンバーが集まり、活躍する」に由来

オリンピア法律事務所