「大学卒業後、司法試験を目指していましたがなかなか結果が出せない中、一般企業での経験も将来にプラスになるだろうと思い、電機メーカーに就職しました。それが27歳の時です。配属された法務部で5年こつこつと法務業務を担当するうち、社内初という海外ロースクール留学のチャンスが巡ってきます。そして米国のロースクールに留学し、ニューヨーク州の弁護士資格を取得しました。その後は現地法人で1年間仕事をするのですが、資格取得で自信もつき『もう一度、日本の司法試験に挑戦しよう』と勤務のかたわら勉強をして、帰国後に司法試験に合格。日本の弁護士資格を取得しました。それが39歳の時でした。メーカーには司法試験合格後も社内弁護士として在籍し計15年勤務しました。契約業務や海外合弁法人設立のスキーム検討など企業法務一連を経験し、日本の弁護士資格取得後は部長待遇のポストで取締役会にも出席。部下を7名ほど持って後進指導も担当しました。会社には感謝しています。入社前、決して堪能といえなかった英語は、同僚の米国人弁護士や海外拠点とのやりとりで土台を作り、留学でさらにブラッシュアップ。一方で企業窓口として外部法律事務所に案件を依頼し、理解度・処理スピードが時に企業の希望に合致しないことも知りました。そして『朝10時に事務所にいない・なかなか返答がない』多数の弁護士を見て、企業の常識が通用しない世界があることも痛感。多くの教訓と経験を与えてくれた企業法務時代でしたが、2006年に退社。当時は『企業法務はやり尽くした』という気持ちでした」