小長井雅晴法律事務所では、民事・家事・刑事事件と並行して、難民案件や、やむを得ない事情による非正規滞在者の入管関連訴訟などに取り組んできました。
茨城県牛久市にある東日本入国管理センターをはじめとする入管収容施設にも何度も通いました。そこには、様々な事情で法的な手続きを踏まずに入国したり、超過滞在になってから難民認定申請をしている方々も多数収容されているのですが、病気になってもすぐに医師に診察してもらえないことも多く、外部との接触・連絡も極端に制限され、時に極めて非人道的な扱いを受けていることがわかりました。刑務所なら刑期がありますが、入管からはいつ出してもらえるかもわかりません。強度の身体的・精神的ストレスにさらされるなかで心身を病む被収容者や、最悪のケースとして亡くなる方も少なくありません。
彼らも私たちも同じ人間です。必要性が認められない収容をしたり、いたずらに強制送還するのではなく、その人固有のやむを得ない事情を正当に斟酌するべきだというのが私たちの主張です。
祖国での過酷な環境から逃れてきた方々が、見知らぬ異国にあって、時に外気も吸えず空も見られない部屋に何人もの人と一緒に長時間閉じ込められ、いつ解放されるともわからない状況は、まさに真っ暗闇の中に放り出されたようなもの。私が面会に行き、「支援します」と言っただけで泣き出す方もいます。「昨日まで私たちに弁護士はいなかったけど今日からはいる。ありがとうございます」とご家族に感謝されたこともあります。
以前、長い時間をかけて在留特別許可を勝ち取ったある難民認定申請者の方は「収容されていた時、駒井の一言が私の命を救ってくれた」と言ってくれたそうです。こういう言葉をいただけるととても嬉しいし、もっと頑張ろうという強い思いも湧き上がってきます。
彼らは、「いわれない逮捕・脅迫・暴行を受けて逃げてきた」「家族を目の前で殺された」など、壮絶な経験をしています。にもかかわらず、つらさや悲しみを乗り越えて、今を一所懸命生きている。穏やかな環境で過ごしてきた私とは、人間としての幅や厚みが違うんですね。そんな彼らから学ぶことはあまりにも多い。このような経験をさせてもらっている、私の方こそありがたいと思います。
被収容者の処遇改善と長期収容からの解放は、今や難民支援と並んで私のライフワークです。日本の難民認定の実態や入管被収容者の処遇は国際標準からかけ離れすぎているので、海外と同じレベルになるまで頑張りたい。今後も、一人でも多くの依頼者と一緒に歩いていきたいと思っています。