2014年9月に合併を予定している両社。これに先立ち、10年に経営統合して共同持ち株会社NKSJホールディングスを設立、今年4月からは実質的な一体運営のかたち(実質合併)に移行し、正式な合併に向けた準備を進めている。
文書法務部は、主として株主総会、取締役会の運営などのコーポレート関係の法務を担当する文書企画グループと、自社の商品である保険に関連する法務を中心にカバーする法務グループの2グループ体制。現在総勢26名の陣容で、全員が両社の業務を兼務している。
全体をまとめる手島俊裕文書法務部長は、「2社とも長い歴史を持つ会社ですから、実務面では細かな違いがありますが、それぞれの利点を生かしながら、完全一致に向けた作業を進めているところです」と言う。
「保険業そのものが、法律の固まりのようなもの」。保険会社ならではの法務について、手島氏は、そう表現する。
「契約を結んで保険にお入りいただき、万が一事故などを起こされて損害賠償になった場合には、規定の保険金をお支払いする。すべてに保険業法をはじめとする法律が絡んできます」
法務グループの杉田義明課長も、「例えば新しい保険商品の約款づくりは、法務そのもの。全社員が法務担当者、という側面があるのです」と話す。
現在、両社合わせておよそ2000万人の顧客を抱えている。現場から法務グループに電話などで寄せられる問い合わせは、年間5000件近く。
「いろんな事案について法的な見解を求められたり、保険金をお支払いできるものと、してはいけない事例とを判別したり。基本は現場で対応するのですが、例えば複雑な相続絡みだとか、前例のない特殊な案件などは法務まで上がってくることが多い」。それらの相談に対して、「適正かつスピーディーに回答を提示することが重要。それが当社に対するお客様のご期待に応えることにつながる」と述べる手島氏はまた、「予防法務的な機能の強化」を課題に挙げる。
「問い合わせ内容や解決のノウハウをデータベース化したうえで、そもそもトラブルが起こらないような仕組みを全社的に構築できないか、と考えています」
すでに、対応策をまとめた「法務Q&A」を社内イントラネットに載せるといった取り組みを進めているが、「さらなる効率化を模索したい」という。