Vol.35
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持ち株会社も含めた3社の法務を担当する文書法務部のメンバー

持ち株会社も含めた3社の法務を担当する文書法務部のメンバー

THE LEGAL DEPARTMENT

#39

株式会社損害保険ジャパン・日本興亜損害保険株式会社 文書法務部

1年後の合併を視野に、“すべてが法務”の保険業の現場を力強くサポート

今年4月から両社一体で運営

株式会社損害保険ジャパン・日本興亜損害保険株式会社 文書法務部
手島部長の右腕である法務グループの杉田義明氏

2014年9月に合併を予定している両社。これに先立ち、10年に経営統合して共同持ち株会社NKSJホールディングスを設立、今年4月からは実質的な一体運営のかたち(実質合併)に移行し、正式な合併に向けた準備を進めている。

文書法務部は、主として株主総会、取締役会の運営などのコーポレート関係の法務を担当する文書企画グループと、自社の商品である保険に関連する法務を中心にカバーする法務グループの2グループ体制。現在総勢26名の陣容で、全員が両社の業務を兼務している。

全体をまとめる手島俊裕文書法務部長は、「2社とも長い歴史を持つ会社ですから、実務面では細かな違いがありますが、それぞれの利点を生かしながら、完全一致に向けた作業を進めているところです」と言う。

「保険業そのものが、法律の固まりのようなもの」。保険会社ならではの法務について、手島氏は、そう表現する。

「契約を結んで保険にお入りいただき、万が一事故などを起こされて損害賠償になった場合には、規定の保険金をお支払いする。すべてに保険業法をはじめとする法律が絡んできます」

法務グループの杉田義明課長も、「例えば新しい保険商品の約款づくりは、法務そのもの。全社員が法務担当者、という側面があるのです」と話す。

現在、両社合わせておよそ2000万人の顧客を抱えている。現場から法務グループに電話などで寄せられる問い合わせは、年間5000件近く。

「いろんな事案について法的な見解を求められたり、保険金をお支払いできるものと、してはいけない事例とを判別したり。基本は現場で対応するのですが、例えば複雑な相続絡みだとか、前例のない特殊な案件などは法務まで上がってくることが多い」。それらの相談に対して、「適正かつスピーディーに回答を提示することが重要。それが当社に対するお客様のご期待に応えることにつながる」と述べる手島氏はまた、「予防法務的な機能の強化」を課題に挙げる。

「問い合わせ内容や解決のノウハウをデータベース化したうえで、そもそもトラブルが起こらないような仕組みを全社的に構築できないか、と考えています」

すでに、対応策をまとめた「法務Q&A」を社内イントラネットに載せるといった取り組みを進めているが、「さらなる効率化を模索したい」という。

法的資質を高め現場に人材供給も

株式会社損害保険ジャパン・日本興亜損害保険株式会社 文書法務部
弁護士資格を持つ大峰健太郎氏

両社は海外にも、現地法人をはじめ数多くの拠点を構えている。手島氏は「現在は法務専門の要員を日本からは派遣しておらず、発生する法律問題については、現地の弁護士などの力も借り対応しています」と話す。

「現状で大きな問題は感じませんが、将来的に文書法務部としてどこまでかかわっていくのかは検討課題。同時に今後は、海外でのM&Aなどの際に法務面でしっかり貢献できる人材を育成することが、ますます重要になると思っています」

ところで杉田氏は、仕事をしながら「自己啓発のため」3年前に弁護士資格を取得。法務グループにはもう一人、今年1月に法律事務所から転職したばかりの有資格者も在籍する。

手島氏は「有資格者がリーダーとして組織をまとめてくれるのは心強い限り。そうした人の指導も受けつつ、若い人たちが十分な知識やノウハウを蓄積したうえで、法務を必要とする現場に配属され活躍する。そんなかたちが理想ですね」と語る。

加えて法務以外でも、大峰健太郎経営企画部企画グループ課長代理が弁護士資格を持つ。

大峰氏は現在、合併に向けた社内規程の統一などに携わるが、「原理、原則からものごとを考える法的思考は、現場で大いに役に立っている」と語る。

「ロースクールで学んでいる人たちには、会社員は組織に縛り付けられる、というイメージが過度に強いように感じます。実際に働いてみれば、そんなことはないことがわかる。もう少し柔軟に考えれば、弁護士の進路の幅が広がると思います」

株式会社損害保険ジャパン・日本興亜損害保険株式会社 文書法務部
有資格者やベテランを交えたミーティングは、若手にとって成長の場でもある