Vol.42
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勢揃いの法務グループメンバー。座間マネージャー(右から3人目)を含む2名が知財を担当(法務業務も兼任)

勢揃いの法務グループメンバー。座間マネージャー(右から3人目)を含む2名が知財を担当(法務業務も兼任)

THE LEGAL DEPARTMENT

#49

エステー株式会社 法務グループ

アグレッシブな事業の意向と規範とのバランスを念頭に置き、現場から信頼される法務を目指す

知財関連の案件もカバー

エステー株式会社 法務グループ
同社のロゴの“ひよこ”(本社前のモニュメント)。「元気さや上を向いて挑戦する姿勢を感じてもらえるように」というメッセージが込められている

同社法務グループは総勢6名の体制で、うち4名は女性が占める。「3人の子供を持つメンバーもいます。当社は全社的に女性が力を発揮しやすい職場だと思います」と経営管理部門法務グループマネージャーの座間毅氏は語る。

同社は1999年に、知的財産業務を研究開発部から当時の監査法務室に移管した。座間氏はそのタイミングで研究開発部から移籍した一人。現在、同グループの業務は「契約書作成、審査業務と知財関連業務がそれぞれ4割程度を占める」そうだ。

「知財といっても、当社の場合、特許より意匠や商標がメイン。それも係争になることはめったになく、R&D部門やマーケティング部門の考えたものが他社の登録に抵触しないか調査したり、特許庁に出願して権利化する業務が多い。問題がある場合にはその会社と交渉して商標を貸してもらったり、その逆のケースに対処したり、といった仕事もあります。当社の製品にとってネーミングやデザインは命ですから、他社との交渉に当たっては、依頼部署と綿密な打ち合わせを行い、その意図を十分理解するよう心がけています」

エステー株式会社 法務グループ
明るく広い社員共用スペースで打ち合わせ。法改正などに関する勉強会も定期的に開き、レベルアップを図っている

法務グループの使命を尋ねると、「一般の弁護士であれば、法律に照らして〇か×か、を判断すればいい。では、我々企業法務の存在意義はどこにあるのかといえば、会社の意向と社会の規範とのバランスを考慮しながら、タイムリーかつ適切にリスクの低減を行うことだと考えています」という、明快な答えが返ってきた。

「当然のことながら、そのためには法的な知識やスキルの向上はもちろん、会社の事業の中身や、その時々に置かれている状況などを常に理解する努力が求められます」

「現場に出かける」ことを徹底

エステー株式会社 法務グループ
エントランス脇のショールームには、季節限定商品や新商品が。おじゃました時には、北海道トドマツの間伐材から生まれた空気浄化剤『クリアフォレスト』の香りが、ほのかに漂っていた。シーズンごとに、室内を“一押し”の香りで満たしている

ところで、エステーといえば、訴求力あるテレビCMが印象に残っている人も多いだろう。

「社風自体も、あのCMのイメージに近い」と座間氏は笑う。

「R&Dやマーケティング部門はチャレンジングで勢いがあります。我々法務は少しだけその対極にいて、リスクを冷静に説明する。いいバランスが保たれていると思っています」と話す。

「例えばマーケティング部門は商品に対し、過大な効果・効能の表現をついしたくなる。そんな場合は、無理な部分を指摘したうえで、どこまでなら可能なのかを一緒に考えていきます」

そうした法務機能の一層の強化に向けて、ここ1、2年取り組んでいるのが、「扱った案件のデータベース化」だ。

「相談を受けて対処したものについては、情報を蓄積して、グループメンバー全員が活用できる仕組みを構築しつつあります。もちろん、まったく同じ事例というのはないのですが、類似ケースに当たることで、『今回はここが違う』ということも正確に把握することができるのです」

この“見える化”を推進して以降、「回答のレベルアップや時間短縮という効果が、徐々に出始めている」そうだ。

他部門に法務の重要性を理解してもらうためにも、メンバーには、「とにかく積極的に現場に出かけよう」と話す。

「回答はメールで送って終わりではなく、なるべく持って行って説明する。直に話をすることで、現場の抱える潜在的な問題に気づくこともあるだろうし、何より法務がより身近な存在になれるはずです。おかげさまで、今は現場がプロジェクトの早い段階から、我々を頼ってくれるようになりました」

欲しい人材は、「ある程度の法律知識は当たり前。そのうえで、仕事の現場を理解する意欲、能力のある人」とのことだ。

  • エステー株式会社 法務グループ
    洒落た応接室『クリアフォレスト』ルーム
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    『シトラス』ルーム