Vol.65
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法務部の人員は20名(事務スタッフ含む)。有資格者(日本法、および日本法と米国法)は、9名。なお同社には、他部署も含めると全社で18名の有資格者が在籍する

法務部の人員は20名(事務スタッフ含む)。有資格者(日本法、および日本法と米国法)は、9名。なお同社には、他部署も含めると全社で18名の有資格者が在籍する

THE LEGAL DEPARTMENT

#87

三井住友信託銀行株式会社 法務部

イノベーティブ&クリエイティブ。商品開発にもかかわるプロアクティブな法務

商品開発の要となる法務

三井住友信託銀行は、「銀行、信託、不動産」サービスをワンストップで提供する国内唯一の自主独立型・専業信託銀行グループ。同社法務部の主な業務は、伝統的な銀行業務、法人・個人あるいは公益・福祉のための信託業務、それらに伴う予防・臨床法務となる。しかし法務部長の片岡雅氏に近年の動向を聞いたところ、多分に戦略法務的な色あいが濃いことがわかった。

「プライベートバンキングでは、海外不動産へのアセット投資と、それに付随する海外向けローン案件が増えており、当該国の担保法制など各種法律を調べ、現地まで調査に出向いたりします。また民事信託に関する業務も増えていて、司法書士や税理士と連携し、コンサルタント的な役割を果たす機会もあります」

そもそも信託商品は、法人であれ個人であれ、カスタマイズ・オーダーメードが基本だ。

三井住友信託銀行株式会社 法務部
法務部のほかに証券代行コンサルティング部、不動産企画部、デジタル企画部、資産金融部、大阪本店証券代行営業部にも弁護士が在籍。法務部メンバーは部をまたぎ、彼らと協働する機会が多い。

「お客さまの要望を商品開発部門や営業部門がくみ取り、それを満たすためにどんな信託の仕組みがつくれるのか、様々な法律に照らしながら法務も知恵を絞ります。金融機関の信託業務の兼営等に関する法律、銀行法等の金融規制法、独占禁止法などを意識する必要があり、税務上の検討も必須。信託が絡むと、民法、会社法、金融規制法などとの適用関係をどう考えるべきか明文化された規定がないことも多いので、法令の文理解釈にとどまらず、立法趣旨まで立ち返って検討することもよくあります。当然、法的論点のみならず当社のビジネス背景・事情などに照らして商品の組み立てを検討しますから、全員が『守りだけでなく攻めの姿勢で積極的に事業の中に入っていこう』という気持ちで業務に取り組んでいます。当社では、法務部は当然として、ほかにも複数の事業にインハウスローヤーが在籍していますが、法律が絡む商品開発をイノベーティブかつクリエイティブに進めていくうえで、弁護士の存在は大きいですね」

なお同社が民事信託向けの口座開設サービスを全国の店舗で扱うようになったのは、法務部の〝ゼミ活動〞がきっかけだ。

「当社では〝新しい付加価値等を考えるゼミ活動〞が全社的に奨励されていて、各部でテーマをもって取り組んでいます。法務部では3年ほど前に、高齢者の資産管理・承継をテーマに、リサーチを始めました。司法書士などが民事信託を手がけていると聞き、そのセミナーに参加したり、勉強会の講師として司法書士を招いたりして、レポートをまとめました。そのレポートがきっかけとなり、当社は民事信託の口座開設を全店展開することを決定。法務部として法的論点を整理、仕組みづくりを積極的にサポートしました」

三井住友信託銀行株式会社 法務部
同社では全部門の若手社員から選抜した社員を対象として、信託や法律について学ぶ「信託研修制度」がある。その法律講義の講師は部内のメンバーが担う。判例勉強会やOJTのほか、そうした社内向け研修も、メンバーにとってはよい学び直しの機会となっている

事業の醍醐味を堪能できる業務

法務チーム長の笹川豪介氏に仕事の醍醐味について聞いた。

「信託商品を例にとると、お客さまからの曖昧な希望や法律的ではない悩みを、『ではそれを法律的に引き直すと、どういうかたちで実現できるのか』など、担当部署と一緒に考えていくことができます。『ほかにもこういう方法がある』『その考え方では、別の法律との関係でマズイ』など議論しながら、商品開発に携われる。法務部は一般的にはバックオフィスですが、当社ではフロントに近いところで仕事ができる。これが醍醐味です」

そんな笹川氏の経歴は、同社の中でも異色だ。入社後、不動産流動化セクションを経て法務部に異動、同部に籍を置きながらロースクールを終えて弁護士となった。その後、都内の法律事務所に出向し、再び同社法務部に復帰している。

「法律事務所と事業会社の法務、どちらもエキサイティングな仕事だと思います。私にとっては、ビジネスの初めから終わりまでかかわることができる点で事業会社のほうが合っています。自分たちが主導できる事案なら遠慮なく差配し、社内外と丁々発止のやりとりをしたり、仲間と一緒に達成感を共有したり。やりがいが、とても大きいです」

同社では今後も積極的に人材を採用していく予定だ。求める人物像を片岡氏に聞いた。
「まず、信託などの事業や商品の仕組みづくりを楽しめる方ですね。加えて、信託業務もグローバル化が進んでいるので、海外投資家の応対なども含め、英語力は必須です。当社では法務部以外の事業部も法律知識のあるプロフェッショナルを必要としているので、活躍できる場はかなり幅広いと思います」

  • 三井住友信託銀行株式会社 法務部
    同社前身の設立は1924年(大正13年)までさかのぼる。以来、日本の信託業務を常にリードしてきた。国内拠点は148カ所、海外拠点は26カ所(支店および駐在員事務所など)を有する(2018年3月末現在)
  • 三井住友信託銀行株式会社 法務部
    同社社員の半数が女性。育児休業・短時間勤務などの制度、休業中のフォローもあり、女性の働きやすさを重視している