法務最前線:2015年1月号 Vol.43

法務最前線

アトーニーズマガジン 法務最前線

経営そのものに深くかかわる企業法務部。現場からの相談に瞬時にかつ的確に判断することが求められる組織に必要なファクターとは、その精鋭が弁護士に期待することとは何か?各社の法務部長へ伺いました。

※掲載記事の内容は取材当時のものです。

新時代のWork Front

法務最前線

株式会社TKC 経営管理本部

比重の高い契約審査を迅速に

1966年の創業以来、会計事務所とその関与先企業、および地方公共団体に専門特化したICTサービスを提供し続けている株式会社TKC。税法・会社法・民法・行政法などの法律と深くかかわりながら、1万名を超える税理士・公認会計士(組織化/「TKC全国会」)と、地方公務員の業務遂行を支援する。また、判例検索を含む法律情報データベースを法科大学院などに提供しているので、社名に馴染みが深い方も多いだろう。同社事業所は、システム開発研究所、データセンター、営業所などで、全国100カ所近くに設置されている。そのすべての法務を担当するのが、経営管理本部 総務部 法務担当課長の大友潤弁護士と、主任・池上英夫氏の2名だ。役割を大きく分ければ、営業拠点がある東京本社にて大友弁護士が法務全体を統括し、地方公共団体事業部とシステム開発研究所がある栃木本社にて、同事業部の専任かつ総務と重なる労務管理面を、池上氏が担当するという具合だ。 二人は法務担当が新設された2008年より、試行錯誤しながら、この体制を整えてきた。「弊社でメインとなるシステムは、税務申告をするにあたっての会計システムや、法人税申告関連システム、企業内での利用となる様々な財務会計システム、そして自治体の基幹系システム(住民基本台帳・選挙・税務情報など)です。法務担当ができる前は契約に関する業務を総務部が行っており、営業部などから届く連絡につど対応していたので、大変だったろうと思います。法務業務で最も比重を占めるのが契約審査ですが、我々はまず〝契約審査におけるルール構築〞に着手しました。社員数も事業所数も、当然、契約数も多いので、迅速かつ確実に案件処理を遂行するためです。審査申請をメールに統一すること、〝審査依頼シート〞記入を徹底すること、それを元に我々が法的リスクを段階的に評価して、承認申請手続を踏むことと、ごく基本的な流れをつくりました」と、大友弁護士は語る。また、「新たなシステムが開発されるたび、取締役会の承認を得て〝標準契約書〞というものが作成されます。その際にも、法的側面からのアドバイスを行う」ということだ。 同社が提供するシステムやアプリケーションソフトは、基本的に〝ノンカスタマイズ〞。そのため、開発時のトラブルはほとんど発生しない。その代わり、利用をめぐるトラブルについては様々なものが想定されるため、契約前の審査(審査・調査・検討)を徹底することが、法務の重要な役割となっている。

業務を俯瞰し、予防法務に努める

法務担当の、会社にとっての存在意義を尋ねたところ、「それはやはり予防法務」と、大友弁護士。「全社の業務におけるリスクの予見可能性や回避可能性について、我々は常にそこを見ながら実務にあたります。まずは社内の様々な業務に精通し、それらに基づいて、より適時的に、迅速に物事の解決にあたることが務めです」「弊社では、ある目標ができると、それに向かって全員が突っ走るという傾向があります(笑)。もちろんそれはよいことですが、時として主観的な判断になってしまう場合も。ですから法務としては、外部との関係においては100%会社側に立ち、社内に向けては全体を俯瞰するイメージで見ることが役割と考えます。会社がどういう方向に進み、その先にどんなリスクがあり得るのかを、まさに予見するということです」と、池上氏も言う。
法務担当には、契約審査や商標・特許の出願(特許事務所との連携)、株主総会の準備等以外にも、大事な職務がある。それが「社員を対象とした研修の実施」だ。「例えば、地方公共団体事業部の営業職の新人向けに、契約書や著作権の基礎知識、自治体との契約に用いられている標準契約書の説明会など、2日ほどにわたってみっちり行う研修を実施しています」と、大友弁護士。社是を「自利利他」とする同社ならでは、〝お客さまのため〞のサービスについて、法務担当業務の枠を拡げて、寄与している。

■企業概要

  • 株式会社TKC
  • 設立 : 1966年10月22日
  • 代表者 : 飯塚真玄(代表取締役会長)
  • 角 一幸(代表取締役社長 執行役員)
  • 資本金 : 57億円
  • 従業員数 : 2205名(2013年12月31日現在)
  • 本社所在地 : 栃木県宇都宮市鶴田町1758
  • ■プロフィール
  • 大友 潤(おおとも・じゅん)
  • 株式会社TKC
  • 経営管理本部 総務部 課長
  • 法務担当 弁護士
  • 2007年12月 弁護士登録
  • 法律事務所入所
  • 2008年5月 株式会社TKC入社法務担当新設に伴い、池上氏と共に法務体制の基盤構築に尽力
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