現在、同社は世界5カ国に拠点を置く。
「北米はコネクティッドビジネス最前線の開発地域。研究開発系のため、知的財産権の取り回しや法令対応もあり、法務を設置している」と鬼頭氏。法務グループは、そうした海外拠点のグローバルヘッドオフィスとして、各拠点の法務ともやりとりするそうだ。
法律事務所を経て、同社に入社した佐藤美波氏と、香川姉守絵氏は、インハウスローヤーとしての仕事の醍醐味を次のように語る。
「やはり“当事者になれる”ということが面白い。法的なアドバイスに留まることは許されず、ビジネスの後押し、グループ全体の仕事の効率化をどう進めるべきか、チームとしてパフォーマンスを最大化するにはどのように進めたらよいかという、法律事務所時代には持ち得なかった視点で、物事を見られるようになりました。法務のみならず他部署との連携も含め、チームとして動いていくダイナミズムも、日々の仕事の中で感じています」(両氏)
また、「法律事務所時代は経験したことのなかった電気通信事業法や警備業法、旅行業法などにもかかわれることも面白い。しかし、あまりに斬新なことばかり、かつ最先端のビジネスであるため、とにかく情報のキャッチアップが大変。社内からは当然、そうした法律を知っているという前提で相談が来るので、毎日必死に勉強です。わからないことは、社内で詳しい人をつかまえて、『教えてください!』となんでも聞く習慣がつきました(笑)」と笑顔で語る両氏だ。
なお佐藤氏は最近、海外で始動した車両の位置情報・移動情報を取得して“見える化”するための「G-Fleet」というシステム提供に携わった。
「まっさらな状態から規約をつくってほしいと相談がきたので、どんな規約・条件をどのように入れていけばよいかを、現場のメンバーと議論を重ねて作成しました。その際、直接聞かないとわからないこと、想像も及ばない要望などがあることを実感。そのように、“紙の上”だけではわからない情報を得て、侃々諤々、現場のメンバーとやり取りし、関連企業とも連携を取りながら調整して規約をまとめ上げる経験は、非常にやりがいがありました」(佐藤氏)
「社内の営業や開発はもちろん、関連企業やパートナー企業とのコミュニケーションの重要性を肌身で感じています」と、香川氏も語る。最後に、10年先の未来を見据えてどんなチームに育てていきたいか、武並氏に聞いた。
「今後、事業のグローバル展開が急速に進んでいくため、海外拠点との連携を緊密に行いながら、海外の法務リスクもきちんと押さえられるような組織でありたい。また、新たなサービス・事業も次々と出てくるので、知的財産権についても精力的に最新情報をキャッチアップし、きちんと権利を守る役割も。そうして、法務グループからの発信力をさらに強化し、法的視点をサービスに生かすことをメンバー全員で推進していきたいと思います」
※取材に際しては撮影時のみマスクを外していただきました。