1964年の設立以来、医療関連事業とニュートラシューティカルズ(NC)(※1)関連事業の2事業で、世界の人々の健康に向き合ってきた大塚製薬株式会社。「ものまねをせず、世界に通じるものを創る」を基本に革新的な新薬や画期的な製品づくりに取り組んできた。デジタルを活用した健康課題解決への取り組みにも「これからのヘルスケアにおいてさらに重要となる」として注力する。
2021年にグループ創業100周年を迎えたが、次の100年に向けて、時代に即した健康課題の解決や新しい市場の創出に力を入れていく考えだ。
法務部の業務について、部長の森山亮子氏にうかがった。
「法務部がサポートする範囲は、各事業部からの法律相談対応、契約書の作成・レビュー、子会社や合併会社の設立時の運営サポート、紛争対応、ガバナンス構築のためのアドバイス、社内法務教育などです。法的思考を生かし、新たな事業アイデアにおけるビジネスの枠組みを提案したり、一緒に検討を行うことも多々あります」
国内製薬企業に先駆けて、73年からアジアに進出、その後、欧米へ――と、独自のグローバル展開をしてきた同社。アジア・アラブ・アフリカ諸国への進出にあたっては地域の独自性に対応すべくOIAA事業部(※2)を設置、法務部も専任担当を置く。
「OIAA事業の法務は同専任担当者がメインで遂行していますが、欧州・北米市場の事業は医薬品事業部・NC事業部が各々担当しているため、OIAA事業専任担当以外の法務部員も買収、出資、共同研究開発、共同販売ライセンスなどの海外案件に関与します」(森山氏)
各自が様々なプロジェクトで、各国の事業部、法務担当などと連携し、グローバル会議に参加するなどして業務を遂行する。担当業務にもよるが、法務部では経験年数・ポジションが上がるにつれて海外案件が増える傾向にあり、担当業務のほとんどが海外案件という管理職もいる。海外案件といっても海外会社との契約交渉や海外子会社とのプロジェクトだけを指すのではなく、海外子会社統括のあり方など社内検討も含む。
このように、グローバルで新たな事業の創出などに取り組む同部のミッションは、「先例創造、俯瞰、信頼」だ。
「当社はイノベーションを重視しています。法務部としては過去から学びながらもそれに縛られず、創造的・建設的な提案で当社の将来を切り開く推進力になりたいと考えています。また、法務部はすべての部署から相談を受ける立場であるからこそ、全社最適と、大塚製薬の未来を考えたアドバイスや判断ができる部署です。どんな相談に対しても親身でありながらも迎合せず、客観的な視点を忘れず対応することで、信頼を一層強固なものにしていこうと奮闘しています」(森山氏)
※1:ニュートラシューティカルズ(NC)/栄養を意味するニュートリションと医薬品を意味するファーマシューティカルズを組み合わせた言葉
※2:OIAA事業部/Otsuka International Asia Arab Division。アジア・アラブ・アフリカ・オセアニアのグループ各社を統括するため2001年に創設された