世界有数のIT企業ヒューレット・パッカード(以下HP)の日本法人ともなれば、社内に外国人がゾロゾロいて、英語が飛び交い、海外とのビジネスが頻繁に……と思いきや、「当社が主に担当しているのは日本のマーケットであり、お客さま。契約書が英文で交わされたりすることはまれです。グローバル企業だから海外グループとのコミュニケーションを取るうえで英語力は不可欠ですが、私たち法務の一番の仕事は、社内の〝意識合わせ〟なのですよ」と、井上修法務・コンプライアンス統括本部長は言う。
同社の法務部門は、営業などの実働部隊をサポートするビジネスリーガル本部と、企業活動の基盤にかかわるコンプライアンス本部からなり、井上氏直属の部下が両部門合わせて11名という陣容だ。
「私自身、商社を皮切りにいくつかの企業の法務部門を経験した中途入社組ですが、11名のうち新卒生え抜きは3名しかいません。それは単に即戦力を求めた結果で、大半は法務畑の出身。ただ、彼らが元いた会社は金融、メーカー、ベンチャー企業と、バラエティーに富んでいます」
即戦力が欲しいのなら、IT関連の専門職をターゲットにするのが常道では?
「専門知識があるに越したことはありません。でも、もっと大事なのは本人の姿勢、考え方です。その会社の事業を深く知ろうと努めれば、どこに行っても通用するはず。そうでなかったら、会社がドラスティックな新規事業に乗り出したとたん、みんな失業してしまう(笑)。どんな会社にも、その道のプロが揃っているのだから、素直に『教えてください』と言えば、喜んでレクチャーしてくれますよ」