「案件ごとに組む弁護士は異なります。さまざまな弁護士と仕事をし、ディスカッションができる環境ですから、若手、ベテランを問わず互いに良い刺激を受けられます。当事務所では新人弁護士も急いで独り立ちさせるのではなく、じっくり育てるようにしていますが、多様な先輩弁護士と組んで仕事ができることで、仕事の成長ぶりも早いように感じています」と中村弁護士は語る。
現在所属している弁護士は、1、2年目から同事務所で育ったいわば「生え抜き」ぞろいだ。入所後に独立する弁護士はもちろんいるが、同事務所に長く腰を据えて経験を積む弁護士が多い。弁護士の定着率が良いのは、同事務所の風通しの良い自由な風土も一因だ。「事務所全体の収入や年間の売り上げなど、すべてオープンにしています。また、勤務時間なども個人の裁量に任せていますし、弁護士会の活動などにも自由に参加できます。個人事件についても、各弁護士の判断で受任の可否を決められますし、それについての経費負担なども一切発生することはありません」(中村弁護士)
もう一つ、同事務所を語る上で欠かせないのは、「中村法律研究室」の存在である。付属機関として司法試験の受験生に無償で勉強の場を提供、指導を行うものだ。25名程度の固定メンバーで自主的に研究室は運営され、ゼミや勉強会などを開催する。受験生にとって、つらい司法試験勉強の期間を支える場となってきた。現在運営されている研究室は1カ所のみだが、開設以来40年間で360名に上る司法試験合格者を輩出。出身者は、弁護士、裁判官、検察官などとして全国各地で活躍している。このような活動も、地域や社会に対する貢献を重視する同事務所ならではの事例だといえるだろう。