質・量ともに急速な充実を進めている同事務所。各自の専門性を組み合わせ、相乗効果を上げている。山中弁護士が一例を紹介してくれた。
「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)から、証券訴訟に関する法務等助言業務を受託しました。資産運用に関する業務を20年以上担当してきた木村・小野両弁護士と私たちとの複合力に期待してもらった結果だと思います。また、譲渡制限株式の売買価格決定の裁判も担当していますが、ここにも当事務所の弁護士が有する証券・金融・会社・訴訟など多様な知識・経験が生かされています」
「現在、新たな規制がかかるかもしれない分野は多数あります。そうした新たな規制が絡む案件に関与することがしばしばあり、その際、内閣法制局長官の経験がある宮﨑弁護士の助言が貴重なものとなることは間違いありません。加えて、17年半もの間、〝クライアント側〞にいて、クライアントの欲するところを熟知している室伏弁護士の知識・経験も、当事務所にとって貴重な戦力となるでしょう」(小野弁護士)
同事務所では、伝統的分野として、外国投資信託や外国企業の開示案件も取り扱う。弁護士は全員英語が堪能で、複雑なクロスボーダー案件もお手のものだ。最近は、リーズナブルなフィーで高度な専門性を求める外国の法律事務所との協力事案も増えている。まさに、狛弁護士が望んだ「小粒ながら山椒のごとき」存在感を示す事務所だ。
最後に、こうしたプロが集まる事務所において、どのような人材が求められているのか、木村弁護士に尋ねた。
「私たちの事務所は小規模ですが、その分、様々な案件にフレキシブルに対応できますし、担当案件の内容も高度なものが多くなります。大きな事務所で安定してやっていきたいという志向の方もいると思いますが、こうした事務所で経験を積むことにより、『早く成長したい。任されたい。自ら開拓していきたい』という、気骨がある弁護士に興味を持っていただけると嬉しいですね」
狛弁護士が事務所名に冠した〝グローカル〞という言葉。グローバルとローカルをかけ合わせた造語だが、これには法律実務に取り組むにあたって、いつも思い起こすべきこと――全体の一部を構成する要素と、ものごとの全体の両方を見ること、つまり〝木を見て森を見ず〞ではなく、〝木を見て森も見る〞という警句の思いも込められているそうだ。技術的なことのみならず、弁護士としての姿勢や視野の広げ方も、狛弁護士の思いをつなぐ弁護士陣から学べる場となろう。