同事務所が“直接交渉が行える・コミュニケーションが取れる”ことを示すエピソードを聞いた。
「欧州のデータ保護監督当局に対する、企業グループ内の個人データ自由移転の枠組みであるBCR(拘束的企業準則)承認に関する申請という当局交渉案件において、承認取得に成功しました。承認取得にあたり、英国のEU離脱(ブレグジット)があった都合で、審査の主担当の役割を英国の監督当局からEU側の監督当局に引き継いでもらわなければならない局面がありました。英国の監督当局とEU側の監督当局のいずれの担当官とも良好な協働関係にあったことが功を奏して、早期に引き継ぎを行ってもらい、比較的スムーズに残りの審査手続きを進めてもらうことができました。海外当局とコミュニケーションを取りつつ、日本企業がこの承認取得にこぎつけたケースはかなり希少であり、当事務所だからこそ実現できた成果であると自負しています」(杉本弁護士)
東京オフィス開設時から参画しているトビン・アーロン弁護士(米国カリフォルニア州弁護士)は、仕事のやりがいを次のように語る。
「データ保護・プライバシー規制分野は、非常にユニークでエキサイティングな業務分野です。AIなどの先端技術についても学ぶことができるうえ、世界中の規制がそれらの技術に対応するために、どのように発展・適応していくか、その経過をリアルに見ることもできます。また、各国政府によってデータ保護・プライバシー規制がどのようにかたちづくられていくのか、世界の政治とデータ保護法の相互関係を知ることも面白い。当事務所の案件は真にグローバルなので、私もこれまで、米国、EU、英国、タイ、中国、日本の案件に携わりました。この分野は日々拡大しているので、私たちの取り扱い案件は、今後も確実に増加していくでしょう。ここでの仕事は、学ぶべきことが多く、わくわくします」
創設メンバーであり、パートナーを務める川島章裕弁護士は、自動車の安全運転技術、配車アプリに関する事業、IoT事業の海外展開、クッキー規制対応、大規模な情報処理を伴うデジタル・マーケティング活動など、先端的な事業分野での支援を多く行う。
「データ保護法対応は、租税法のように詳細な規定がなく、規制の枠組みが抽象的に記載されているケースが多いことが特徴です。また、監督当局が公表するガイドラインが企業の実態と合わないケースも往々にしてあります。当該分野は平たく言えば『ある程度原則的な内容を定めるから、その枠内で解決していきなさい』という建て付けなので、依頼者にとって最善な具体的・実務的対応をどうするか――“想像力”と“創造力”を駆使しながら仕事ができる、弁護士の力の発揮しがいがある分野だと思います」(川島弁護士)