松田聖子さんと小泉今日子さんを共演させたCMで話題の化粧品「アスタリフト」が象徴するように、同社の業容はかつての「写真フィルムメーカー」から大きく進化し、消費者向けにデジカメ、化粧品、ビジネス関連で医療、印刷用の機器や材料、液晶用部材などを多角的に展開している。富士ゼロックスなども傘下に置く「富士フイルムホールディングス」としての売上高は2兆2171億円、従業員は約7万人で、富士フイルム法務部ではその約半分の規模に当たる富士フイルムの事業に関する業務を、主に担当している。
法務の陣容は、富士ゼロックスなども傘下に置く「富士フイルムホールディングス」のコーポレートリーガル担当4名を含め18名。「グローバル展開をさらに推し進めている会社の事業内容から見て、少ないですね。拡充していく必要があります」と、三島一弥法務部長は話す。ちなみに三島氏は、「ホールディングス」の経営企画部法務グループ長も兼務している。
法務部は、BtoCおよびBtoB関連事業をそれぞれ担当する二つのグループからなる。ただし「案件によっては、〝垣根〞を越えてチームを組むなど、柔軟な組織にしている」そうだ。
「〝事業部と近くある〞のが、当社法務部の最大の特徴。口幅ったい言い方ですが、現場から頼りにされ、リスペクトもされていると自負しています。だから重大な問題が発生した場合は、いち早くこちらに情報が伝わり、具体的なアドバイスができる」
同社法務部の信頼感を高めた事件が、1995年に発生した「日米フィルム紛争」だ。米コダックが富士フイルムの「排他的市場慣行」を問題にして、WTO(世界貿易機関)にまで持ち込まれたこの問題は、結局日本側の全面勝利に終わる。
法務部は、日本企業でいち早く本格的に立ち上げたホームページで反論を展開するなど、「戦い」の中核的な役割を担った。「あの時の経験はいろいろな意味で〝資産〞になった」と、三島氏は話す。