「ラックス」「ダヴ」といったパーソナルケア製品および「リプトン」などの食品ブランドを中心に市場展開し、今年4月に13年ぶりに新ヘアケアブランド「クリア」を市場に出した世界最大級の一般消費財メーカー、ユニリーバ(本社=オランダ、英国)が日本に進出して、今年でちょうど50年を迎えた。その日本法人の法務グループは、北島敬之代表取締役以下、正社員3名と派遣社員のアシスタント1名の体制。ただ、「実際にはユニリーバの世界中のリーガルが同僚であり上司、という感覚で仕事をしています」と北島氏は話す。
「我々が〝グローバル〞と呼ぶリーガルのトップ機能はロンドンにあり、その下にエリアごとの〝クラスター〞が置かれています。日本はノースアジアに属しており、この〝グローバル〞や〝クラスター〞とのつながりを大事にし、そのリソースを最大限生かしていくのが、日本だけではなく、またリーガルに限らない、グループの基本方針なのです」
そこは、世界190カ国以上で事業を展開している強み。「日本で直面するのと同じような問題は必ずどこかで発生していて、メールなどで問い合わせると、〝経験者〞から的確な答えが返ってきます。もちろん、海外からの〝SOS〞に対応して、力になることもある」そうだ。
そんなリーガルの「役割は大きく2つ」と北島氏は言う。
「1つは、契約書で当社の権利をきちんと保護する、リスクをマネジメントしてアドバイスするなどといった、資産と信用を守る役割。従来型の法務の仕事といっていいでしょう。そしてもう1つは、ビジネスパートナーとして、事業の成長をサポートしていくことです」
「年々比重が増している」という後者の役割について、「要するに法務が関与することで売り上げが伸びる、マーケットシェアが高まる、そういう機能を果たさないといけない、ということです」と説明する。
「例えば、法の枠組みを踏まえたうえで、どれだけ訴求効果の高い広告表現にできるか、というケースで、『規制があるからそれはダメ』というスタンスで仕事をするのは楽でしょう。でも我々は、コンセプト段階から自ら話し合いに加わって、法務の視点を踏まえた表現方法をアドバイスしたりするのです。法律の趣旨や過去の事例を知っているからこそ、できる提案もある。ただそのためには、そのビジネスの目的、ターゲットをきちんと理解することが不可欠になります。難しさとやりがいを大いに感じられる役回りですね(笑)」