法務部のミッションを果たすためにも、全体のレベルアップは重要課題である。
「部内の研修としては月1のペースで、担当者を決めて発表会を行っています。昨年度はいろいろな判例をテーマにしましたが、今年度は会社法について深めていきたいと思っています」
本格的な国際化の進展を踏まえて、英語力のアップも至上命題になっている。
「法務に精通したネイティブスピーカーに依頼し、交渉、プレゼンテーション、ライティングなどに関するレッスンを実施しています。単に法務に特化した英語を学ぶだけでなく、国内外に共通して通用する表現方法や論理的思考、さらにはコミュニケーションの方法などについて学んでいます」
目指すのは、「契約交渉から知的財産、M&Aなどについての仕事までこなせるジェネラリストであり、かつ、法的問題に関する専門性を有した集団」だ。
同社は現在、米国、韓国、中国、台湾、マレーシア、シンガポールに8つの海外拠点を持つ。「今年度からは、一定の契約書であれば各海外オフィスで審査できるようにするため、現地でのトレーニングを始めている」そうだ。
「今後もアジアをはじめとした海外事業の拡大が予想されます。法務としてもそうした状況に対応できるよう、しっかりした体制を構築していきたいと考えています」
ところで同部には、国内弁護士と法科大学院修了の部員が1名ずつ在籍する。
「私は、法律の専門知識を生きたものにするためには、ビジネス現場での実務経験が不可欠だと感じています。そういう意味で、企業法務というのは法律の専門家が自らの視点を広げ本物のスキルを身に付けられる、魅力的な活躍の場だと思います」