Vol.47
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法務部の男女比ほぼ半々。弁護士資格保有者は、法務グループに1名。なお、大阪の知財グループには弁理士が1名所属

法務部の男女比ほぼ半々。弁護士資格保有者は、法務グループに1名。なお、大阪の知財グループには弁理士が1名所属

THE LEGAL DEPARTMENT

#57

コクヨ株式会社 経営管理本部 法務部

老舗企業が挑むグローバル展開。戦略的法務が事業スピードを加速させる

〝経営との対話〞を事業部門と協働

コクヨ株式会社 経営管理本部 法務部
「久保のおかげで、フラットに議論や相談ができる場が増え、業務のスピードも格段に上がったと思います。すべての論点をぶつけて、どんどん決めて、ということができ、仕事のやりやすさが増しました」(法務グループマネージャー加藤創氏)

創業110年を迎えるコクヨは、ステーショナリー、オフィスファニチャー、通販・小売の3つの事業グループを運営している。法務部は、2011年1月の経営組織・コーポレートガバナンスなどの体制一新・強化によりCSR部から独立。14年、久保和生氏が法務部長に着任した。現在、経営管理本部法務部・統括部長の職を任ずる久保氏に、現体制について伺った。

「法務部メンバーは、私と、育休中の社員を含めて13名。全社法務を見る法務グループ6名を東京に、研究開発拠点がある大阪に知財グループ6名を置いています。これに中国、インドの海外子会社と、国内子会社の法務担当を加え、〝グローバル法務チーム〞を組織。法務グループは、契約審査、紛争対応、グループ内事業再編、アライアンスなどの法務業務と、コンプライアンスのコアとなるコクヨグループ行動基準を浸透させるための役割も担っています」

戦略・治療・予防のあらゆるミッションを背負った、経営への関与割合が大きな法務部といえる。

「我々法務部の使命は、細かな日常業務上の判断からはじまり、〝経営判断の原則〞に則り、全社員で〝安心してリスクをとって事業遂行できる環境を整える〞ことと考えます。全社を俯瞰しながら〝経営との対話〞に留意し、最適な解決策を提示する。ですから我々も現場のブレインストーミングの段階からかかわり、共に知恵を絞り、最後の判断の部分に至るまで、経営や事業部門と協働する――そんな機会を増やしています」

続いて、法務グループマネージャーの加藤創氏が語る。

「法務部メンバーはフットワークよく、各事業部門に契約交渉や品質保証に関する検討の場に出向きます。そうすることで、現場の社員一人ひとりと良好な人間関係が生まれ、信頼関係が深まり、様々な情報が入ってくる。ゆえに、問題の背景を把握し、過去の対応例を見据えたうえで、将来の展開を予測した判断および提案ができるようになる。そんな仕事の進め方を推奨しています」

コクヨ株式会社 経営管理本部 法務部
ミーティングを定期的に実施。6名しかいないので、お互い仕事状況はすべて把握。業務の相談や打ち合わせは随時

業務も働き方も多様性を重視

コクヨはアジアを中心に、積極的な市場拡大を推進。中国5社、マレーシア2社、ベトナム2社、タイ2社、香港1社、インド2社の海外子会社を展開している。久保氏はその全体戦略について説明する。

「グローバル法務チームが、海外子会社の動きをウォッチし、海外事業を〝見える化〞しています。例えば、数年前に買収したCamlin Limited(現:コクヨカムリン)は、同社が有していた法務機能を残し、日常業務を任せ、月1回のミーティングでチームをマネジメント。中国エリアの子会社についても同様のスタイルですね。コクヨグループ全体に影響がある問題は共同で、子会社の細かな日常業務については現地のチームが主導といった力加減です。今後も、会社の成長と共に法務が活躍する舞台は、国内外にどんどん広がっていくでしょう。そういった意味で、ここでは海外の法務スキルより、ダイバーシティマネジメント思考が求められているといえるかもしれません」

法務グループには、時短勤務や育休中のメンバーもいるが、急に海外出張が決まれば、周囲の助けを借りつつ現地へ飛ぶこともある。ここには、メンバー同士がお互いに自然と支え合う風土が醸成されているのだ。久保氏は続ける。

「コクヨは、大きすぎず小さすぎない企業規模。法務部は経営との距離が近いため、経営陣とのカジュアルな話し合いも含めて〝全体感〞を意識しながら仕事ができます。我々の提案が会社の動きにどうつながっていくかがわかり、手応えや結果がきちんと得られることが仕事の最大の面白みだと思っています。そんなやりがいを武器に、より一層、事業の役に立つかたちでコクヨ法務部の力・実績・存在感をアピールしていきます。今後は、様々な能力を持つ人材を集め、海外で活躍できるメンバーを増やし、全員が多様な働き方を選択していける法務部へと進化させていきたいですね」

  • コクヨ株式会社 経営管理本部 法務部
    「社風自体が穏やか。フラットで和気あいあいとした職場です。メンバー全員でランチする機会も多い」(久保氏/写真は同社社員食堂)
  • コクヨ株式会社 経営管理本部 法務部
    事業の主軸は、文具・事務用品製造・販売の「ステーショナリー関連事業」、オフィス家具・公共家具の製造・販売とオフィス空間構築などを行う「ファニチャー関連事業」、オフィス用品の通販とインテリア・生活雑貨販売を行う「通販・小売関連事業」の3グループ