法務最前線:2017年11月号 Vol.60

法務最前線

アトーニーズマガジン 法務最前線

経営そのものに深くかかわる企業法務部。現場からの相談に瞬時にかつ的確に判断することが求められる組織に必要なファクターとは、その精鋭が弁護士に期待することとは何か?各社の法務部長へ伺いました。

グループ全体の法務リスク管理体制をさらに底上げ、強化する中核的存在に

法務最前線

東急不動産ホールディングス株式会社 グループ法務部

多彩な事業に 法的助言を行う

開発事業の東急不動産、管理事業の東急コミュニティー、仲介事業の東急リバブルなど6社の持株会社である東急不動産ホールディングス。グループ全体の法務を担うグループ法務部は、法務グループとコンプライアンスグループで構成される。元は総務部内にあったが、今年4月、独立部署として新たにスタートした。その背景を統括部長の関川和己氏に伺った。「持株会社が設立されて4年が経ちました。その強みをさらに堅固にすべく、主要事業会社6社および関連会社すべての法務リスク管理体制の底上げと、コンプライアンス対応の強化を図るため、グループ法務部を新設したのです」
同部スタッフは東急不動産の採用・在籍で、持株会社の法務を兼務する。歴史ある東急不動産が培ってきたノウハウを、グループの法務リスク管理に生かすかたちだ。例えば東急不動産では、10年以上前から独自の社内法律相談受付システムを稼働させていた。年間相談登録件数は1500件ほどで、システムを導入していない関連会社からの相談は、同部スタッフが個別に受付・登録、一元管理している。即戦力採用で入社した弁護士の川﨑菜穂子氏は言う。
「過去の類似案件ではどんな法的アドバイスをしていたか一目でわかり、仕事が効率的に進められます。このデータベースがあるおかげで、中途入社者である私も戸惑うことなくすぐ業務に対応することができました」効率化と平準化は、同部が目指す重要なポイントである。現場に迅速かつきめ細やかな対応をする時間はもちろん、スタッフが自己研鑽するための時間を増やすこともできるからだ。「当社は昨今、北海道釧路町で着工した太陽光発電所の開発事業、埼玉県・三重県での物流施設開発事業、国管理空港の民営化第1号となる仙台空港運営事業など、従来とは異なる多様な事業に次々と着手しています。例えば、SPCを用いたファイナンス・スキームなど、複雑な案件では、かなり踏み込んだ法的助言をする必要があります。専門性が求められる業務が増えているため、全員が今まで以上に高いスキルアップ意識をもって業務に取り組むようになりました」

社内弁護士の活躍が 事業発展を支える

同社が社内弁護士を採用し始めてから何が変わったか、関川氏に伺った。「ここ数年、訴訟件数は相当減りました。不動産開発は工期の問題、人の感情の問題など、緊急で対応しなくてはならない問題が常にやってきます。しかし法務の働きが認知され、問題が起きる前に『まずは法務に相談しよう』という意識が社員の間に根付いてきたようです。例えば契約書一つをとってもプロの目でチェックできることにより、臨床法務が中心であった従前に比べ、予防法務の割合が増えてきたのだと思います」
最後に川﨑弁護士に、この仕事におけるやりがいを教えていただいた。
「プロジェクトの遂行は、役員、事業部、財務や広報など、様々な立場と意見調整しながら進めます。そこに一体感を持ってかかわれることがやりがいです。また案件が非常に多様で、典型的な不動産売買・賃貸案件などから、新規事業のスキーム、グループ会社の様々な事業にまで法的アドバイスが可能。自分が関与できる業務の幅がどんどん広がること、それに伴い法律事務所も含めたいろいろな人的ネットワークを構築できることも、この仕事の醍醐味です」

■企業概要

  • 東急不動産ホールディングス株式会社
  • 設立 2013年10月1日
  • 資本金 600億円
  • 所在地 〒107-0062
  • 東京都港区南青山2-6-21 TK南青山ビル
  • URL http://www.tokyu-fudosan-hd.co.jp/
  • (採用元)東急不動産株式会社
  • 設立 1953年12月17日
  • 資本金 575億円