無印良品は、素材の選択・工程の点検・包装の簡略化という実質本位の商品づくりをベースに「世界の人々に〝感じ良いくらし〞を提案すること」を理念に掲げる。背景にあるのは独自の思想や哲学だ。菊池氏に、その本質について伺った。
「機能特化した商品であるため、形だけマネをされて係争に発展してしまうこともありますが、背景にある思想まではマネできない。それが当社の強み。ただ、商標登録や意匠権などの登録が難しい場合など、どうすべきかと法務が知恵を絞ることは、多々あります」
一色氏も「当社はアイデア先行型。例えばUR都市機構と共同で古い建物の再生法を考える取り組み、棚田・里山などを社会の共有財産として保全する取り組みなど、新プロジェクトが次々立ち上がる。それらをどう契約に落としこむかなど、法的な面からサポートする」と語ってくれた。また同社は中国において第三者が行った無印良品の不正商標登録に関する取消要求の裁判で勝訴したが、現在も海外の商標権侵害に関し、現地の弁護士と連携して対処するケースが多い。昨年は、不正競争行為差止請求訴訟の際に奔走した大石麻理子氏が、仕事のやりがいを教えてくれた。
「フットワーク軽く動ける法務部であることが、仕事のやりがいを生んでくれています。先の訴訟にあたり、証拠収集で多様な部署に足繁く通い、各部がどんな仕事をしているかをより深く知ることができました。その後も各部とコミュニケーションがスムーズにできています」
一色氏は、法務部と各現場とのありようを、「有機的な理解」と表現する。
「企業法務の醍醐味は、ゼロから現場と共に仕事ができること。事業は様々な人々の知識経験の集大成。その一端に携わることが喜びです。この会社が好きでこの会社のために何ができるかを考えて皆が仕事を進めているので、自然と仲間意識が高まり、仕事の質も上がります」
今後どんな人材を求めるのか、菊池氏に伺った。
「これからは法務のゼネラリストで、なおかつ得意・専門分野を持つ、語学が堪能な人材で構成される組織を形成していきたい。何よりもフラットな組織風土を楽しめる人材と共に働いていきたいですね」