各チームは、どのような案件に関与しているのか。都市交通・沿線チームに所属する石田梨紗氏に、具体的な取り組みを聞いた。
「私たちのチームでは、西武鉄道株式会社および沿線のレジャー施設を運営する子会社などの法務を担当しています。事業連携の一例が、『西武線アプリ』のサービス拡張です。従来の時刻表や運行情報提供に加え、特急券・指定券やイベントチケットの販売、沿線にあるエンターテインメント施設などの他社チケットも取り扱えるアプリで、新たな機能搭載に向けたスキーム設計や契約関係の整理を事業部門とともに進めました。また、鉄道事業者間で連携した太陽光発電事業への出資や、そこから調達した電力で鉄道を運行する取り組み、駅のロッカーで預かった荷物を宿泊先へ配送するサービスの立ち上げなどでも、スキーム設計、許認可対応、関係者との調整などを担い、初期段階から事業の立ち上げを支えました。複数の事業者や制度が交錯する本案件を通じて、社内外の関係者とのコミュニケーションがかなり深まりました」
實方摩由子氏は、ホテル・レジャーチームにおける取り組みを教えてくれた。
「私たちのチームは、株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドと、その国内外の子会社を担当しています。同社では不動産を保有せず、運営に特化した“ホテルオペレーターへの転換”を図っていますが、これはオーナーとの契約に基づいて運営を行うアセットライト型のビジネスモデルで、賃貸借や運営受託など複数のスキームを組み合わせていく必要があります。契約スキームが複雑化し、利益配分や責任分担の設計、各国の規制への対応など、法務の関与領域が広範囲に及ぶ、国内でも比較的新しいビジネスモデルの創出に関与しています。『2035年度までに250ホテル体制を構築する』という目標のもと、国内外でのホテル開業や海外のホテルグループのM&Aも進んでおり、私たちもスピード感を重視して業務に取り組んでいます」
また、荒井啓一氏(課長)が率いるグループ法務チームでは、株式会社西武ホールディングスとその子会社の一部の法務をはじめ、投資や提携に伴う契約対応、複数のM&A案件にも関与している。西武グループの主要事業領域である不動産チームの仕事については、荒井氏が教えてくれた。
「不動産事業は鉄道やホテルといった各事業を支える基盤であると同時に、グループの持続的な成長戦略を担う中核領域です。これを支える不動産チームは、保有アセットの活用や成長投資を軸として、まちづくりを踏まえた再開発・運営といった不動産に付加価値をつける事業の展開に寄与しています」
多様な事業領域を守備範囲とする法務部の魅力を實方氏に聞いた。
「法務部は4つのチームに分かれているものの、チーム連携で進める案件も多く、ほかのチームが得た法的知見を学ぶ機会に恵まれています。チームごとに事業領域に関連する業法や事業環境、商慣習や考え方など〝文化〟は違いますが、“縦・横・斜め”の連携が密で、他事業の文化を学びながら、一体感を持って業務にあたれていることを魅力に感じています」
石田氏も、法務部の仕事の魅力について語ってくれた。
「いまだに毎日が勉強です。特に鉄道分野については、入社当初は現場の仕事をほとんど知らない状態でしたので、現場の方々がどのような業務を担い、どのような場面で課題やトラブルが生じやすいのかなど、一つひとつ教えていただきながら理解を深めました。鉄道営業法をはじめとする業法もかかわるため、運輸部門の方々のほうが実務に精通していることも多く、規則なども含めて現場から学び、対応しています。このように現場と一体となって事業理解を深め、自分自身の成長を感じられることが、この仕事の魅力です」